スペシャル

懐かしのゲーム紹介

第3回「ソロモンの鍵」

こんにちは、原尾Pです。
さて、今回は、アクションパズルの傑作「ソロモンの鍵」です!

開発スタート時の名称は「STONE MAZE」

緑衣の魔法使いダーナを操り、鍵を取り扉を目指す。
「ソロモンの鍵」は、固定画面クリア型パズルゲームの中でも、アクション性とパズル性を高いレベルで両立させた傑作として評価されています。
魔物があふれる石の迷宮を脱出するという内容から、開発当初は「STONE MAZE(仮)」と呼称されていました。この名称はROOM44のサブタイトルとして残されたのですが、これら各面のサブタイトルは、当時、一部の雑誌を除き、大きく扱われることはありませんでした。古い仕様書を紐解くと、各MAPのいずれにもニヤリとさせられるサブタイトルが書き込まれているのに非常に残念です。ROOM2の「デーモンズ・リバー」などは特にイメージにピッタリだと思います。(デーモンズ・ヘッドがどんどん流れてくるアノ面です)

主人公ダーナは魔法使いという割には大した魔法は使えません。強力な「火球の術」を使うには、限られた魔法アイテムが必要になりますので、基本的に魔物を避けながら扉を目指すことになります。
彼が最も得意とするのは(というか、それしか出来ないのですが)「換石の術」という空中に石の足場を生み出す魔法です。
  その魔法の石を状況に応じて出し消し、階段、盾、落とし穴、檻などに見立てて使い分けるのが本作の最大の特長です。これにプレイヤーの様々なテクニック(垂直ジャンプやマント立ちなど)が加わると、奇跡のようなプレイを実現することが出来ます。まぁ、奇跡じみたプレイをしないとクリアできない超難易度面もあるってことなんですけどね。
よく“人為的なルール”――ゲームを成立させる為のルールを導入すると、ゲームの楽しさの本質からは遠ざかっていくと言われます。ですが「ソロモンの鍵」は、そのセオリーを破って、なおかつ面白さを成立させた稀有な例だと思います。

また、本作はアーケード版と家庭用版がほぼ同時期(共に1986年7月)に発売されました。凄い移植スピードだ! というわけではありません。なんと並行してAC版とFC版を別々に製作していたのです。その為、AC版とFC版ではプレイ感覚もやや異なる内容になっています。

世界観について

黎明期のゲームの世界観設定には、整合性を欠くようなおおらかなものが多いですが、本作もまた複数の伝承が混じり合った内容となっています。
ダーナという名前はアイルランド一帯に伝わるケルト神話の妖精の名です。(初期の企画書には、複数種の妖精がいてそれぞれにケルト神話の妖精の名前があてられていました)

その一方、ソロモン王の手で迷宮に魔物が封印された、というくだりは古代イスラエルの伝承からインスパイアされたと思われます。見事に混ざってますね(笑)
よくある80年代のゲームが持つ無国籍性の表れと笑うのは簡単ですが、どうもそれだけではないようです。ケルト神話とソロモン王という、ある程度メジャーな看板を掲げながらも、このゲームには“時間と封印”というオリジナルテーマが裏設定として脈々と流れているようなのです。
まず舞台が暦に通じる星座宮です。そして魔導書から破られた“時の呪文”の頁が、エンディングを左右する重要なアイテムとされています。ダーナの迷宮滞在時間を伸ばす“ノルムの砂時計”は、「スーパースターフォース 時空歴の秘密」でも登場する“時の商人ノルム”の手によるものですし、クリア後は、ダーナは妖精の園(常若の国“ティル・ナ・ノーグ”)で永遠に平和に暮らすとされています。
  ドット絵で“悠久の時間の流れ”をテーマにする志の高さと無謀さにしびれてしまいますね。ちなみに「STONE MAZE」の初期ストーリーは「鏡の向こうから魔物が攻めてくる」といったオリジナル要素の濃いものでした。“カミーラの鏡”にその名残がうかがえます。

アニメにおけるダーナの存在……そして少し宣伝

さて、ここからは、ちょっと14歳的に行きますね。
アニメに登場するダーナは、ゲームのダーナとは別人です。ジャック君がマイティ家の末裔であるように、彼女もまた古い魔法使いの流れを汲む一人にすぎません。
彼女の設定は、ケルト神話よりもソロモン王寄りで組みなおしてあります。だって、ソロモン王には72体の魔神“ソロモン72柱”を従えたというステキ設定があるんですもの!
彼女が使うのは“換石の術”ならぬ“喚石の術”です。“召喚石”を組みあげて魔神を創り出し使役することができます。第10話「リバース」では、ソロモン第12位の魔神シトリーと、同じく30位の魔神フォルネウスに登場してもらいました。
ちなみに魔神シトリーの『自由に服を脱がすことが出来る』という能力は伝承そのままです。決して私の願望とかではありません(笑)。
  彼女は、生粋の日本人という設定で(目が青いのはカラーコンタクト)本名もあります。
放送では明かされていませんが、AR台本では、茅原実里さんの名前の横に『ダーナ(キリコ・ヒダカ)』と明記されています。
手品師のはずなのに占いばかりしていて、佳境でいきなりエロ魔神を呼び出すボスキャラでしたというのは流石に強引かとも思いましたが「リオを見ている皆さんは、きっと許してくれるに違いない」と、ああいう感じにしてしまいました。

さて、ここで宣伝です! この度、Blu-ray&DVDの初回特典ブックレットに「アーニャにおまかせ!(仮)」というショート・ストーリーを連載(全7回予定)させていただくことになりました。
「アーニャにおまかせ!(仮)」は、Blu-ray&DVDの内容と同時進行的に語られる、もうひとつの「Rio Rainbowgate!」です。
  「勝利の女神って赤字じゃないの?」「ロールルーラーって結局なにさ?」「スカイリゾートってどうやって飛んでるの?」「リンダとかどんだけ超科学だよ!」「ミントは本当にMr.クラークの孫なの?」「ハワードとカルティアの関係は?」「リオパパって鬼畜だろ!」
  といった本編での数々の疑問に答えつつ、アーニャ&女の子たちの活躍を描く、蛇足感たっぷりのスぺクタクル番外巨編(当社比)です。

「アーニャにおまかせ!(仮)」の、最大の狙いは“ツッコミの促進”です。
ほら、Blu-ray&DVDの画面には、あの、皆さんによる“書き込み”が無いじゃないですか。それって少し寂しいですよね。皆さんのツッコミで「Rio Rainbowgate!」の面白さが倍増するって主張する人が多い以上、それに替わるものを用意する必要があると考えたんです。
まずBlu-ray&DVDを普通に観賞していただく。次に「アーニャにおまかせ!」を読んでから、もう一度、観ていただく。さすれば「あぁ、この時は、なるほど……ってなんでやねん!」と思わず“ひとりツッコミ”が飛び出すことでしょう。名古屋名物“ひつまぶし”的な楽しみ方を味わっていただきたいと思います。

コスト割れして途中の巻から、特典ブックレットが付けられなくなっちゃうのも嫌なので、是非ともご予約をお願いいたします。(大人的事情)
あっ、そうそう! もちろん「なぜ、アーニャがあそこまでエビにこだわるのか」という最大の疑問も解き明かされますよ!

「ソロモンの鍵」

©TECMO KOEI GAMES CO.,LTD.

PROFILE
原尾宏次
「Rio RainbowGate!」プロデューサー。コーエーテクモウェーブ取締役。

ページの先頭へ