巴衛たちが見た12年前の奈々生は、幼くして波乱万丈であった。母を亡くし、ギャンブル好きの父は家を空けがちだったが、それでもひとりでたくましく育っていた。その様子を瑞希は見ていられなくなり、奈々生を過去から連れ出そうとするが、逃げられてしまう。そんな奈々生を巴衛は抱き上げ、奈々生を笑顔にするために欲しいものを与え、行きたい所に連れて行く。しかし、時折寂しそうな表情をみせる奈々生に巴衛は……


一年の実りをもたらすという年神の所へ、新しい札をもらいに行く奈々生と巴衛と瑞希。年神の社の入り口には、十二鳥居というそれぞれ名前の書かれた鳥居が立っている。12年ぶりの年神に各々の12年を示すため、ここを通って12年間を振り返らなければならないという。それぞれ鳥居をくぐるが、奈々生だけがいつまで経っても出てこない。巴衛と瑞希はやむをえず奈々生の鳥居に入ると、そこには幼い日の奈々生の姿があった。


退魔結界で二郎の結界を解いた奈々生。夜鳥によって奪われ隠された僧正坊の御魂を、白札を使って探すが、白札が指した方向は行き止まりの壁であった。そこに二郎がやってきて、壁を破壊すると、扉が現われた。それは、17年前に封鎖された、鞍馬山に巣くう雷獣が眠る穴へと続く扉であった。二郎は奈々生に「近づくな」と言い、穴へと入って行く。奈々生も僧正坊の御魂を先に取られてはなるまいと、後を追いかけるが……


本家道場のどこかにいる僧正坊に桃丹を届けるため、奈々生は天狗の変装をして護と牡丹丸と共に潜入するが、二郎の結界のせいで僧正坊を見つけることができない。一方、鞍馬は土地神のふりをして、巴衛と共に正式に本家道場に迎えられる。鞍馬は悪酔い必至の下界の酒を二郎に振る舞うが、先に酔いつぶれてしまい、悪巧みも気取られピンチに! しかし、巴衛が奈々生に変化し二郎の酌をはじめると、結界がゆらぎはじめ……


天狗の里の中心に立っている霊木の万年桜は、僧正坊が病に倒れてから枯れてしまっていたが、奈々生が白札で一時蘇らせることができた。しかし、偶然居合わせた二郎が、奈々生を厳しく叱責する。ここ天狗の里は、女人禁制の里だったのだ。思わぬ形で二郎と遭ってしまい、逃げ帰る奈々生。その夜、身を寄せている翠郎の家に、鞍馬の帰省を聴きつけた兄天狗たちがやってきて、鞍馬に四代目僧正坊になるように詰め寄ってくる。


鞍馬山からやってきた牡丹丸が捜していた真寿郎とは、鞍馬のことだった。鞍馬の父である三代目僧正坊が病に倒れ、今は四代目候補である二郎が御山を仕切っているという。牡丹丸は四代目は鞍馬にと考え、下界まで迎えに来たのだった。跡目を継ぐ気はまったくない鞍馬であったが、牡丹丸の体に二郎につけられた鞭の跡を見て帰省を決意。奈々生と巴衛も万能薬の桃丹を持って鞍馬に同行する。しかし道中、深い霧に包まれてしまい……


神議りの宴の席で、捜していたミカゲに会うことができた奈々生。しかし、思惑があるミカゲは、巴衛とは会わずに姿を消してしまった。ミカゲから人間と妖の恋が禁忌である理由を聞いた奈々生は、巴衛への気持ちに悩み、出雲からひとりで帰路につくことを選ぶ。地元に戻ると、駅で買い物中の姫美子と遭遇。姫美子は落ち込んでいる奈々生に気付き、「デートをしよう」と誘った。街を散策するうちに笑顔が戻る奈々生だったが……


巴衛の助けにより、黄泉の国から無事に脱出した奈々生と霧仁。しかし、打出の小槌で妖怪に戻った巴衛は、大国主によって牢に幽閉されてしまった。それを知った奈々生は再び神使の契約を交わすため牢に向かうが、断られてしまう。巴衛は「この女はお前のなんだ」と霧仁から言われ、気持ちの整理がつかなくなっていた。奈々生はそれでも巴衛のために何かできることはないかと考え、麻毛理神とある物を物々交換する。


霧仁と一緒に黄泉の国に落ちてしまった奈々生は、黄泉国主祭神のイザナミから宮殿に招待される。
イザナミは奈々生に黄泉の国を出るように言うが、霧仁は死者であることを見抜き、牢に閉じ込めてしまった。
奈々生は霧仁を助けるため、黄泉の住人になったフリをして、イザナミの宮殿に残る。
そのころ巴衛の元へ、奈々生が黄泉の国で行方不明になった知らせが届く。
巴衛はすぐに黄泉への入り口である黄泉比良坂に向かうが……


神議りの主宰神の大国主から、黄泉への入り口『黄泉比良坂』へ偵察に行って欲しいと言われる奈々生。
警備が手薄になる神議りの時期を狙って、妖怪が境界を壊そうとしているらしい。
会議に遅刻をした罰として乙比古も同行し、ふたりは黄泉比良坂に向かう。
ところが、入り口を塞いでいた巨岩石が真っ二つに割れていた!
一方、留守番を強いられた巴衛はひとりであることをいいことに、社を空けて遊びに行ってしまう。


乙比古の試験をクリアした奈々生は、式神の護と一緒に出雲に行く飛行機のチケットを買いに行く。
帰り道、護が奈々生に向けられた強い殺気を感じ取り、人気のない公園に逃げ込むふたり。
殺気の主は、神の座を失いもはや化け物へと成り下がった、神堕ちたちであった。
人神でありながら神議りに出席する奈々生に嫉妬し、辞退せよと詰め寄ってくる。
すると、偶然居合わせた青年が、神堕ちたちに挑発的な発言をしてしまい……


女子高生ながらミカゲ社の神様になった奈々生のもとに、乙比古が訪ねてくる。
全国の神々が出雲に集まって会議を開く『神議り』の召喚状を持ってやってきたのだ。
上から目線で参加を進められ、はじめは断る奈々生。
しかし、巴衛が失踪したミカゲの影を追う姿を見て、出雲に行けばミカゲの居所を知る神が居るのではないかと考え、神議りに行くことを決意する。
乙比古から参加条件として、ある試験を受けることになったが……